代表的な感染症一覧

 *出席停止期間:あくまで原則の最短期間です。病状によっては更に延長が必要なこともあります。

 

#特異的治療:特定の病原体や疾患そのものに対して効果を持つ治療法のことです。特異的治療のほかにも、安静や水分・栄養補給、症状に対する薬剤(発熱に対する解熱剤や咳や鼻汁に対する鎮咳去痰剤、下痢に対する整腸剤など)による治療(対症療法、と言います)ももちろん必要です。場合によっては特異的治療よりも対症療法が重要なこともありますし、対症療法だけで回復する感染症もたくさんあります。

 

 

 

第2種感染症

病名

出席停止期間  特異的治療#

ワクチンの有無/予防法や注意事項

インフルエンザ

発熱した後5日、かつ解熱した後2日

(幼児では3日)を経過するまで。 
抗インフルエンザ薬 

あり:インフルエンザワクチン

(任意。6ヶ月齢以上に適応あり) 
 百日咳

特有の咳が消失するまで、または5日間の

適正な抗菌薬による治療が終了するまで。

抗菌薬

あり:四種混合ワクチン

(定期接種は年齢制限あり)

麻しん

発疹に伴う発熱が解熱した後3日を経過するまで。

対症療法のみ

あり:MRワクチン

(定期接種は年齢制限あり)

流行性耳下腺

(おたふくかぜ、ムンプス)

     耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫れが出現した後

     5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで。

対症療法のみ

あり:ムンプスワクチン

(任意。1歳以上に適応あり)

風しん

 発疹が消失するまで。  対症療法のみ

あり:MRワクチン

(定期接種は年齢制限あり) 

水痘

(みずぼうそう)

すべての発疹が痂皮(かさぶた)化するまで。

抗ウイルス薬

あり:水痘ワクチン

(定期接種は年齢制限あり)

咽頭結膜熱

 (プール熱)

     発熱、咽頭炎、結膜炎などの主要症状が消失した後

     2日を経過するまで。

対症療法のみ

ワクチンはない。

 手洗いやプール前後のシャワーの励行を。

プール以外でも頻繁に感染します。

結核

    病状により医師が感染のおそれがないと認めるまで。

( 肺結核の場合、通常は喀痰中の結核菌が塗沫検査で

     3回連続陰性となるまで )

抗結核薬

あり:BCG

(定期、乳児のみ)

BCGにより乳児の重症結核(全身の結核症である「粟粒結核」)の予防効果が期待できます。日本は未だに結核の「中蔓延国」です。

髄膜炎菌性髄膜炎

有効な治療薬開始後24時間を経過するまでは隔離。

病状により医師が感染のおそれがないと認めるまで。

抗菌薬(早急に!)

あり:20155月から国内での発売開始(任意)。高校や大学の運動部などでの入寮する場合や海外留学、アフリカ中央部に渡航予定がある場合などは接種が望ましい。 国内でも発生があり、2011年には宮崎県内の高校の寮で集団発生、4名中1名が亡くなっています。

 

第3種感染症

病名

出席停止期間 特異的治療 

ワクチンの有無/予防法や注意事項

腸管出血性大腸菌感染症(O-157など)

医師が感染のおそれがないと認めるまで。無症状病原体保有者は、5歳以上で排泄習慣が確立していれば登校・登園可能。5歳未満では2回以上連続で便培養陰性化確認後。

症例により

抗菌薬

ワクチンはない。

手洗い励行、トイレの消毒、食品の十分な洗浄や加熱が重要。子どもには絶対に生肉・生レバ べさせない。

重篤な腎障害や脳症が起きることがあります。

はやり目

・流行性各結膜炎

・急性出血性結膜炎

医師が感染のおそれがないと認めるまで。

対症療法のみ

ワクチンはない。

眼脂(目やに)、涙などの分泌物に触れない。治った後も便の中には1ヶ月程度排泄されるので手洗い励行を。

 

第3種感染症(その他)

条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症

病名 

出席停止期間 特異的治療

ワクチンの有無/予防法や注意事項

溶連菌感染症

適切な抗菌薬による治療開始後24時間以上(保育所向けガイドラインでは24~48時間)経過し、症状なく元気になるまで。

抗菌薬(絶対適応)  

ワクチンはない。

・処方通り抗菌薬は最後まで飲み切りましょう。治療を中断すると「リウマチ熱」という合併症に罹ることがあります。

 ・時に腎炎を併発することがあります。早期発見のため、医師によっては数週間後の尿検査の指示が出されます。

A型肝炎

肝機能が正常になるまで。

対症療法のみ

あり:A型肝炎ワクチン(任意)。

衛生状態の悪い発展途上国に渡航予定の場合は接種が勧められます。平成25年3月から16歳未満の小児にもワクチンの適応が拡大されました。

B型肝炎

    急性期でない限り登園は可能。但し集団生活の場で

    血液などの体液からの感染予防に留意が必要。

抗ウイルス薬、インターフェロンなど。

あり:B型肝炎ワクチン。

2016年10月から0歳児を対象に定期接種となりました。1歳以上では任意接種ですが、未接種者はワクチン接種での予防をおすすめします。

手足口病

 ヘルパンギーナ

発熱や口・のどの痛みなど症状がなく、

普段通り食事が摂れて元気になるまで。

対症療法のみ

ワクチンなし。

症状が治った後も長期間便から原因ウイルスが排泄されるので手洗いの励行を。

伝染性紅斑

発疹のみで他の症状なく元気なら登園・登校可能。

対症療法のみ

ワクチンなし。

 胎児や血液疾患のある人に感染すると生命に関わることがあります。妊婦さんや血液系の持病がある人は流行期には気を付けましょう。

ウイルス性胃腸炎

(いわゆる嘔吐下痢症)

・ロタウイルス感染症

・ノロウイルス感染症

            発熱や下痢・嘔吐などの症状が消失し、

            元気になるまで。 

対症療法のみ

ロタウイルスにはワクチンあり

(任意、年齢制限あり) 

症状が治った後もしばらくは便の中にウイルスが排泄されるので登園・登校開始後も手洗い励行を。

細菌性腸炎

・サルモネラ感染症

・カンピロバクター感染症  

など

下痢が治まるまで。  症例により抗菌薬 

ワクチンなし。

調理者の手洗い、器具の衛生管理、食品の加熱(中心部75℃以上1分以上の加熱など)が予防に重要。

子どもに非加熱の肉は食べさせない。 

マイコプラズマ感染症

発熱や激しい咳が治まり、元気になるまで。  抗菌薬 ワクチンなし。 

急性細気管支炎

RSウイルス感染症

・ヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染症

など

     ひどい咳や鼻汁、喘鳴(胸の音がゼーゼーいうこと)

    が治まり元気になるまで。

 対症療法のみ

RS・hMPVともワクチンなし。

RSについては未熟児で生まれた赤ちゃんや生まれつきの心臓や肺疾患がある子、ダウン症の子など「シナジス®」という薬の定期注射で重症化予防します。 

突発性発疹症

解熱し1日以上経過し元気になるまで。  対症療法のみ

ワクチンなし。

しばしば熱性けいれんの引き金となります。稀に脳炎の原因となることもあります。 


通常出席停止の措置は必要ないと考えられる感染症

病名

出席停止期間

特異的治療

ワクチンの有無/予防法や注意事項

アタマジラミ

  適切な治療(駆除)が開始されていれば登園・登校や 

  プールに制限なし。

スミスリンシャンプー・パウダーによる駆除。なるべく早急に開始する。

 ワクチンはない。  

タオルやクシ、帽子は共用しない。寝具などは熱湯やアイロン、クリーニングなどで処理。

家族内でもしばしば伝播するので家族一駆除が良い。

伝染性軟属腫

(水いぼ)

制限なし。

但し掻き壊して浸出液が出ている時は覆うこと。

場合によっては皮膚科にて摘除。自然治癒を待つことも多い。

ワクチンはない。

プールのビート板や浮き輪などを介して接触感染するので共用はやめましょう。水そのものは介さない。掻き壊すととびひの原因になることがあります。

伝染性膿痂疹

(とびひ)

  皮膚が乾燥しているか病変部位が覆える範囲であれば

  登園・登校可能。

抗菌薬

(外用や内服)

ワクチンはない。

黄色ブドウ球菌や溶連菌が原因になります。

他の子 へうつす可能性を考え、治癒するまでプールは薦められません。

蟯虫症

制限なし。

  但し痒い肛門や外陰部に触れた手指には虫卵が付着し

  他者への感染源となり得ます、

駆虫剤

(コンバントリン®)

ワクチンはない。

指吸い、爪噛みがあると口から虫卵が入り繰り返し 分自身に感染を起こすことがあります。